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憲法保障(1)

憲法の全体的な流れ>

憲法の究極の目標が「個人の尊厳」の実現にあることは、以前お話ししました。(第13条前段)

 

憲法はこの理念を実現するために、国民に人権を保障しています。

しかし、人権は絶対的に無制約なものではありません。

何故なら、人権同士は矛盾・衝突する可能性があるからです。

例えば、表現の自由があるからといって、夜中に住宅街で騒ぐとみんなが迷惑します。

そこで、「公共の福祉」により人権は制約することができます。(第13条後段)

「公共の福祉」については下記記事をご覧ください。

「公共の福祉」という概念は非常にあいまいなので、法律で具体化する必要があります。

ご存知の通り、法律は国会(立法権)が作成します。(第41条)

法律で人権を制約できる根拠は、国民が自ら選挙によって選出した国会議員ならば、人権を制約させても安心できるという理論です。

 

しかしながら、法律は多数決で議決されます。

そのため、多数派が濫用する危険が発生します。

そこで裁判所(司法権)は、人権を制約する法律が少数派の人権を侵害する濫用的な法律でないか否かを審査する機能を持ちます。

これを違憲審査権(第81条)といいます。

 

裁判所は法律をチェックし、判決を下します。

判決を下された事件を通じて裁判所が示した法律的判断のことを判例といいます。

判例にはまず、合憲違憲かが書いてあります。

法律が憲法に違反していなければ合憲、違反していれば違憲となります。

そして、その結論に至る理論や理由が書いてあります。

 

違憲審査権の具体的な方法> 

裁判所の違憲審査の方法を解説します。

以下は違憲審査までの流れです。

憲法による国民の人権保障→法律で人権を規制→規制に納得いかなければ裁判所に訴訟→裁判所が違憲審査

では、裁判所は法律のどこをどのように審査するのでしょうか。

 

まず、法律は①立法目的②目的を達成する手段(具体的な内容)からなります。

裁判所は①立法目的は重要か②手段は相当かを審査します。

①②ともにクリアすれば、当該法律は合憲となります。

逆に、①か②どちらかが適当でないと判断した場合、当該法律は違憲となります。